【Book】赤めだか/立川談春

赤めだか/立川談春

落語は、印刷の発達によりテキストが入手しやすくなり、録音も普及し、いまではDVD化もされて映像でも見ることができる噺も多い。作中で師匠である立川談志も、テープがあるということに触れ、たとえ直弟子であっても自分からすべて稽古をつけてもらわなくてはいけない時代ではないと言い切っている。
では、弟子入りとは、師匠と弟子とは何なのか?
ただ、高座を見て、テープを聞いて、DVDを見て、芸を完コピすることとの差は?

立川談春という落語家の誕生から真打昇進までの軌跡を本人による筆でたどりながらも、内容は立川談志伝。立川談志という唯一無二の親鳥とその親鳥にほれ込んだ雛。でも親鳥は雛が口をあけて待っているだけでは餌をくれないのはもちろん、ひと筋縄ではいかない。

そのことは、立川談志と立川談春という筆者の師弟関係でベースを作りつつも、そのまた師匠である柳家小さんと立川談志のことに触れられる「特別篇その二 誰も知らない小さんと談志」に集約されている。

人間関係に正解はないのだけれども、その選択をするなかでの人の妙を感じさせられた一作。

未読の方はぜひ。
私も遅すぎと後悔。。。



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