【Book】堕落する高級ブランド/ダナ・トーマス

ラフォーレ原宿のセール最終日に足を踏み入れたことはありますか?
全国各地のショップの売れ残りが集められ、最後には90%OFFまで投げ売りされるセールは本当にすさまじい。
これをを体験してしまうと、物の値段とは様々な要素が加わって構成されているということが嫌でもわかるわけですが、高級ブランドもしかり。

利益率を上げるために行われているトリックを明かし、ブランドがブランドであることをやめてしまった事実をパリのジャーナリストが生々しい言葉で記したのがこの本です。

堕落する高級ブランド/ダナ・トーマス

ベルナール・アルノーが帝国を築き、グッチ・グループが対抗するファッション近代史に始まり、エルメスの成り立ちとケリーやバーキン誕生の話といったメジャーなところから、イーディス・ヘッドらのアルマーニがどうやってハリウッド・セレブに浸透していったのか、レイチェル・ゾーらのスタイリストの台頭などの裏側などのファッション・インサイダーネタがごろんごろん暴かれています。

中国で生産していることをオープンにしているのはアルマーニだけだけど、それ以外のブランドも「最終工程」(ほとんど最後のタグ付けレベル)のみイタリアやフランス本国で行っているなど、ブランド側にとっては痛い話が並んでいて、よくここまで取材できたものだとつま先程度しかこの世界に縁のない私でも感じるのだから、発売で困ったことになった人は多いでしょうね。
しかし、それはすべてダナ・トーマス自身のブランドへの愛ゆえ。日本に関する記述も多く、その正確さに脱帽!(もちろん翻訳者の監修がちょっとは入ってるんでしょうけど…)

ちょっと長いけれども、興味のある部分だけでも読んでみてください。

あと、クリスチャン・ルブタン好きの方はぜひ。ルブタン氏のブランドスタンスのインタビューは貴重ですよ。



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