【Book】謎解きはディナーのあとで/東川篤哉

Armchair-Detective(安楽椅子探偵)ってご存知ですか。

殺人や事件が起きた現場に行かず、事件の謎を解いてしまう探偵をさす言葉です。
古くはシャーロック・ホームズやジェーン・マープルもいくつかの作品で、現場に行かず解決しています。

昨年出版以来、売れているこの本の探偵も、ほぼ現場には行かず、事件を解決します。
極端なのが、1人からの伝聞だけで解決する点。

謎解きはディナーのあとで/東川篤哉

おまけに、探偵たる執事・影山が導き出した推理が正しいのか否かはほぼ描かれません。
(1作だけ犯人を待ち伏せし、まんまとひっかけるため犯人ははっきりします)

設定が執事と令嬢というドラマにしやすいから、即効どこかの局でこの冬あたりのドラマ化が…と思って読み進めていたのですが、事件の結論がはっきりしないからか、むずがゆい読後感が残ります。それが短編5本分ですから、ストレスがたまるこということなし。最後の1作のみ、犯人と推察される男との格闘があるため、「あー、犯人がはっきりした」となんとか気持ちは落ち着きましたが…。

基本的には行き詰まりとなった捜査状況を令嬢刑事・麗子が伝え、その範疇で影山が推理するだけなので、犯人の劇的な告白も、手錠をかけるという2時間ドラマにありがちな絵的なものはなし。

とはいえ、事件を解決できないお嬢様刑事・麗子を執事である影山が罵倒する場面などは映像化すると映えそうですね。さて、どうなるでしょうか? 作品としては売れているので続編が出るのは確実でしょう。

「失礼ながらお嬢様――この程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様はアホでいらっしゃいますか」
(第一話:殺人事件では靴をお脱ぎください)

「こんな簡単なこともお判りにならないなんて、それでもお嬢様はプロの刑事でございますか。正直、ズブの素人よりレベルが低くていらっしゃいます」
(第三話:綺麗な薔薇には殺意がございます)

…プロの刑事、って変な言葉ですよね。

いろんな違和感がある作品でした。

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