【漫画】綺麗な器のなかにドロドロした真実が詰まっている「失恋ショコラティエ」


失恋ショコラティエ/水城せとな

「好きなことを仕事にして、失敗したらつらいよね」

そんな逃げ口上に乗っかるように、自分が最初に一番なりたかったことを手放した私ですが
めぐりめぐって、なんとなくは高校生の頃に思っていた

「情報を速く知ることができる、編集者になりたい」という夢は叶えています。

その形態は大阪の田舎のオンナノコが知っているレベルの大手出版社の社員ではないし、
当時は自分が使いこなすと思っていなかったインターネットの世界で取材をしているなんてことも。

そして、巡り巡って、2番目に好きだった「チョコレートを食べること」の取材をするという夢を叶えちまっています。

後発組だし、ちゃんと専門的な勉強をしたわけでもない。
企画を考えて、チームを組んで、取材をするということを何年もやってきたけれど、そんなみみっちい自信なんて0からどころかマイナスからの再スタートです。

でもひとつだけ心に留めているのが

お店や味の評価をつけない、ということ。

例えば3つあるなかで、「これが好き」という嗜好を示すことはしても、5段階で3とか3.5などの評価を付けるお仕事だけはしないと決めています。
美味しくないと思うお店のことは、紹介しないことで直接の評価は避けられます。
編集ライターなので、「このお店取材してよー」ではなく、「このお店取材しませんか?」と提案できるので、そこは守れます。

これは、別にやっているブログでも同じです。

なんでそんなことをやっているのか、うすぼんやりとは思っていても、一言では言い表すことができませんでした。

このマンガの主人公の男子はショコラティエ(チョコレート職人)です。

失恋してその勢いでフランスに行き、帰国後実家の店を改装して自分のお店を構えます。

彼や彼の同僚などの恋愛が描かれつつも、ショコラティエの世界の裏の試行錯誤の姿も出てくるのですが

彼がニューヨーク帰りのショコラティエのショコラを食べたときに、ちょっとくせがあるそのショコラの感想を求められたときに語られるのです。

「こんなの欲しくないとか

これが嫌いな人がいても

それは別にいいの。

あたしとは縁がなかっただけだもん」

先日も某氏が「後輩を自分が大好きなお店に連れていったのに、『知ってますか?このお店、食べログで星3つなんdねすよ』」と言われて、くそーと思ったと言ってたなぁ。

食べる前から評価を決めていませんか?

誰かが好きなものが、必ずあなたの好きなものですか?

私は、食べてみたくなったり、そのお店に行ってみたくなってくれるきっかけが作りたいのです。

あー、すっきりした。

さて、「なりたい」の次は「続けたい」を叶えなきゃね。

あ、このマンガ、お話ももちろんおすすめです。

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