【Book】美魔女の仕掛け人が語る、本当のニーズの見つけ方:「欲望」のマーケティング /山本由樹

読了。1時間ちょいあれば読めるコンパクトサイズですが、ビジネスのヒントが詰まった1冊。

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「欲望」のマーケティング /山本由樹(ディスカバー携書)

アラフォー以上の女性のコンテスト「国民的美魔女コンテスト」の生みの親で、『STORY』、『美ST』(旧・美STORY)の編集長の山本氏が、退職を機に出版した本です。

この本の発売とほぼ同時期、株式会社giftの立ち上げ、新雑誌『DRESS』の創刊を発表しています。

美魔女マーケティングの仕掛けの仕組み、ブランドマーケットのつくり方など、いろいろと裏側の話や、
途中「あー、やっぱり電通がからんでたのね。雑誌単体ではやっぱりここまではできないのかなぁ」なんて思いも元編集者としてはありつつ、首が取れちゃうかと思うほどうなづいたのが、ここ。

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年収とか可処分所得とか、妻や母という属性だけで何がわかるというのでしょう。

例えば、F1、F2という分け方も、F1層が20歳~34歳、F2層は35歳~49歳と、1カテゴリーに15歳もの幅があります。

雑誌を作っているとよくわかるのですが、世代の感性は5歳刻みで変わってきます。35歳~39歳と40歳~44歳までとでは、まったく違う人種と言っていいほどです。
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そう。よく資料などでターゲティングのイメージモデル像的なものを提示しますが、それはあくまでもイメージ。

人間が身銭を切ってまで買おうとするものには、理由が必要。
その理由が10代でも50代でも、納得するものがあれば、価値あるものになります。

その納得する理由を商品には落とし込み、我々編集者はよいものであれば伝えていく。

先日、ある取材で物を選ぶプロの方に、それだけ物を日々見ていて、個人としても選ぶ基準はどこなのでしょうか?と聞きました。

もちろん、自分のアンテナにひっかかるもの、好きなものであることは大前提。
逆に、よこしまな商売気を出すと、そこがずれてしまうそうです。

私もESSEという若い主婦向けの雑誌で新商品のコーナーを担当しており、毎号新商品の候補のピックアップをしています。
もちろん、若い主婦をイメージはします。でも、「主婦はこれを使いそう」も大事ですが、それよりも「これを買ったらもっと生活が楽しくなりそう」という自分のアンテナも使います。

結局、主婦も同じ女性です。私よりも年下だろうな、と思うけれど、お財布の中身が厳しいことはきっと同じです。
その大切なお金で、自分の生活をちょっと楽しくできるアイテムならば、買ってみたいですよね。買うまではいかなくても、買ったらこう使ってみようかな、ああいうことに使えそうだなとイメージのなかに置いてみてくれるかもしれません。

この本は、数字ではなく、ちゃんと人の欲に向けて雑誌を作ることの正しさと楽しさを再認識させてくれました。

あ、もちろん、マーケティング本としても面白いですよ。

【これまでにアップした本・雑誌・漫画に関するトピックス】
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●【Book】しゃべくりの天才のルール:犬も食わない 上沼さんちの夫婦げんか事件簿/上沼恵美子 上沼真平(2012.09.22 Saturday)
●【Book】魔法のハイヒール ジミー チュウ ストーリー/ローレン・ゴールドステイン・クロウ(2012.01.15 Sunday)
●【Book】経理部って何してるの?がちょっとわかる「会計ドレッシング」(2012.01.07 Saturday)
●【Book】半径10mの人間の本性が一番怖い 「悪の教典 上・下巻/貴志祐介」(2011.12.11 Sunday)
●【Book】アレックスと私/アイリーン・M・ペパーバーグ(2011.07.22 Friday)
●【Book】シューマンの指 /奥泉 光(2011.05.29 Sunday)
●男の頭の中にはセックス以外は何があるのか?英国のベストセラー「What Every Man Thinks About Apart From Sex」の中身は…(2011.03.10)



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