まだまだ続くパクり&無断使用の連鎖・・・羽田空港写真利用の問題点

オリンピックロゴ問題から発生したデザイナー佐野研二郎氏にまつわるパクり&無断使用疑惑の数々。

真偽のほどがわからないので静観していましたが、これはいかんだろう!と職業的に思ったのがこちら

●【炎上】佐野研二郎がつくった五輪エンブレム展示例のイメージ図もパクリであることが判明(netgeek)

●佐野研二郎氏のエンブレム、使用例にも疑惑が(The Huffington Post)

2020年の東京オリンピックの大会ロゴの盗用問題について、佐野研二郎氏が反論を行った会見で使用されたイメージ図のなかで、羽田空港にロゴがかかるとこーなるよ、ってもので。

個人のブログに掲載されている羽田空港の画像が合成につかわれているという疑惑。

ご丁寧にも、元の画像の右下にあるウォーターマーク(写真の無断使用を防ぐためにいれられている著作権表記および所有社名のすかし)も消されています。

この件について、何が問題なのか? このブログの画像をさんざん無断使用されまくった私が考えてみます。

 

●個人のブログからの画像の使用について

このブログの所有者は撮影当時は日本在住で、いまはアジアの別の国にいる人物のようです。

もし自分のためにこのブログの画像を使いたい場合は、まず著作権者である当人にその旨を伝えなくてはなりません。このブログの所有者もその意識は持っており

All text, graphics & photographs on this site belongs to me, unless stated otherwise. Please DO NOT use them without permission or without linking back to me.

(本サイトにあるすべてのテキスト、グラフィック、写真はすべて私に所有されています。これらを私の了解やリンクすることなしに使用しないでください)

とブログには記載されています。

とはいえ、私もブログに「※ブログ内の内容・写真の無断転載(まとめへの引用も含む)ご勘弁ください~。」って書いてるけど、思いっきり使われてしまいましたがね。

よく著作権法32条を引き合いに出して「引用があればブログの画像を使っていい」という解釈をする例があるようですが、引用というのはその内容も含めておこなうもので、画像のみ持っていって自分の都合のいいテーマに使うことは「転用」です。

そういう意味では、個人が撮った思い出の羽田空港の写真を仕事のプレゼンテーションに使うことは明らかな「転用」といえるでしょう。また、これが無断使用だった場合、著作権法違反にも該当します。

ただ、著作権はブログの所有者の国籍やこのブログシステムの運営会社のある国の法律に準ずることも考えられるため、それによりまた問題点の増減は考えられます。

●許可を取っていたとしても問題が

個人の写真であっても、羽田空港の写真という時点でまた別の問題が起きます。

羽田空港はセキュリティーの問題上、撮影に関してはとても厳しいシステムが取られています。空港のゲート内はもちろん、ゲート外、例えばおみやげ物ショップの取材でも、管理会社である日本空港ビルデング株式会社への申請が必要です。ドラマの撮影などで空港のシーンが必要な場合は時間が長くかかることもあり、たいてい大崎ゲートシティや幕張メッセなどのロビーや通路が使われています。

空港は不特定多数の個人がたくさん行き交う場所です。そこで撮った写真には人の顔が映ってしまいます。個人の撮影はOKでも、それをビジネスに使うとなると・・・。

ネット上には「フリー素材」と呼ばれる所有者が著作権を放棄した作品や画像もありますが、羽田空港のようなセキュリティが厳しい場所かつ、不特定多数の個人が写りこんだものをフリー素材とすることは難しいでしょう。
確認はしていませんが、amanaやGettyImagesなどに羽田空港の画像があったとすれば、著作権をクリアした写真サイトから購入し、使用する場合はこの多くの問題を事前にクリアしています。

では、今回の場合、どのような展示例を提示するのが正しかったのでしょうか?

このような発表資料の場合、写真をベースに作ったCGやイラストのパース図にポスター画像を合成するのが一般的です。

公にならないプレゼンテーションにこの画像をダミーとして使ったとしても、決定した時点で自社でベースとなる写真を改めて撮りにいき、それを元にパース図を起こし、人物部分を消してシルエット程度のものをいれて、そこにポスター画像を合成する。これが追ってでもできた正しいステップではないでしょうか。

もし今回もまた「スタッフが」と発表されるのであれば、スタッフが羽田に行ってきたという話や、amanaやGettyImageの請求が起きていないことでのチェックがないことに疑問を持ちます。

普通業務上で「これこれこういう画像が必要」となった場合、「どうやって探すか?」「どれにするか?」って指示や打ち合わせがあるはずです。私も広告代理店の方と企業ホームページを作成する場合、取材するには難しいイメージ図の場合はamanaやGettyImagesで候補をピックアップし、そこから理想とするものを検討しています。

今回の問題は、佐野氏個人が持つ、普段からの良くない方向の「(時間やお金が)もったいない」意識の表れとしか感じられないのです・・・

この見解は、広告代理店やデザイナーではないけれど、それに近しい業種で働いている者から見たいまぱっと思いつくレベルでの問題点です。

きっと、弁護士の方や空港の方、デザイナーの方など、また立場が違えばさらなる深い意見や別の角度からの問題点もあるかもしれません。



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