女性のリアルな意見のぶつかり合いが楽しいSEX AND THE CITYのドラマ公式本「KISS AND TELL」【ブックカバーチャレンジ 映画編3日目】

かなり間があいての、ブックカバーバトン、映画編3冊目。

 

ピンク色のクロコ調の表紙が印象的な本が2冊。その前にあるのは、原作本。

人気を博したドラマ「SEX AND THE CITY」の関連本です。

ドラマの関連本だけど、完結前で発売されたため。掲載されているのも、シーズン4までの内容になっています(シーズンは6まであります)。撮りおろしではなく場面写真を使っているため荒いのが玉にきずですが、ドラマの詳細やストーリーのデータベース、キャストやプロデューサーのダーレン・スターのインタビューなどファンにはたまらない1冊です。

 

ピンクの本が2冊あるのは、オリジナルの英語版と日本語版の両方購入したからで、それぐらいハマっていました。

 

ドラマの内容はいまさら説明するのはPR会社社長のサマンサ、アート・ディーラーのシャーロット、弁護士のミランダ、恋愛コラムニストのキャリー。原作の「セックスとニューヨーク」では筆者のキャンディス・ブシュネルのコラム連載で、そのなかの1人として描かれたキャラクターを4人のタイプの女性の経験に落とし込んで映像化しています。

 

 

 

キャンディス・ブシュネルの方がキャリー演じるサラ・ジェシカ・パーカーよりも美女で、ソフィスティケイトされた雰囲気。そう、どちらかといえばシャーロット寄りのスタイル。でもドラマでは一躍人気スタイリストとなったパトリシア・フィールドによるタイトル映像でのピンク色のチュチュのように、ちょっと奇抜なスタイルだけど、足元はマノロブラニクというこれまでのアメリカのドラマの女性主人公にはなかった個性を持ち込み、世の女性にショックを与えました。それまでのアメリカのファッションといえば、日常に着るのはジーンズにネルシャツ的なもの。アーバンアウトフィッターズやアメリカンイーグル、GAPなどのイメージ。もちろん、持っていないわけではないけれど、それはあくまでも1つの選択肢であって、デートの相手や場所によってくるくると変わるし、買い足す。時には借金をしてでも!!

 

そして、HBOという有料チャンネルでの放送で、性の表現がOKだったため、30代の女性4人がそれぞれの人にとっての運命の相手を見つけるために試行錯誤を繰り返すのです。この本にはそれぞれが誰とデートして、「やったかやってないか」をリスト化する。そんなトリビアも詰まっています。

 

このドラマがなによりも好きだったのは、主人公のキャリーをはじめ、4人とも完璧な人間ではないことでした。4者4様の美しさを持ち、キャリアを築いているけれど悩みはあり、常に自分が望むものを求めている。その求めているものの違いでぶつかり合いながらも、誰かがつらい思いをしたときはそっと寄り添う。認めることはできなくても、完全否定したり、見捨てたりしない。30代になっても楽しそう!そんな元気をくれるドラマシリーズでした。

 

振り返ってみると、このドラマの時点でもいわゆるWASPの女性4人が選ばれているなど、やはり現代から見ると価値観が古いところが多々あります。それだけ、世界におけるダイバーシティが進んでいるんですよね。オープンゲイの友人がいたり、同性愛や中国からの養子縁組など、世相をいち早く反映していました。

 

このドラマ以前・以後では、女性のキャラクターの描かれ方はかなり変化しました。シーズン1をいまみるとかなり古い感じがするけれど、当時は本当に画期的だったんですよ。自由の国アメリカでも、全然自由じゃなかった。

 

そして時は流れても、残念ながら女性にとっての見えない天井はまだまだあります。20年近く経っても、結局心が変わってない人と対峙したときにがっかりする理由は同じ。

 

でも、めげない!自分の人生を自分らしく生きる。それでいいんだってことを、このドラマの女性たちは教えてくれます。

 

このドラマでも、4人すべてが「結婚しました、めでたしめでたし」というハッピーエンドを迎えていません。離婚した人もいるし、病気になった人もいる。それでも前を進み続ける姿は、たくさんの女性に勇気を与えたことでしょう。残念ながら続編の映画2作は良品とはいえないので、ドラマにとどめておくのよろしいかと。

 

当時、放送日の夜にはNYの街中から女性が消えたなんて話もありましたが、オンデマンドな時代になり、いまはそういった現象はなくなりましたね。そういう意味では、鬼滅の刃20巻の発売での行列は、令和でも起きるんだ!という珍しい光景でした。

 



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