最近ふと気づいたのが、昔よりも「予約が取れない店」「予約困難店」が増えていること。
いや、正しくは前から予約がなかなか取れない店はあったけれど、それはどちらかといえば「紹介制」「一見(いちげん)さん」の意味だったと思います。しかしいまでは「予約を取る人が多すぎて、次に行けるのが2年後」や「予約開始日に秒で予約が埋まってしまう」という意味合いが増えています。
これはやはり、「予約が難しい」という話がネットなどで広まっていて、事前に予約枠を確保しておくという人が増えたことが大きいのではないでしょうか。
かくいう私も8月某日に1年半前に予約したお店に行くはずでしたがあいにくの体調不良のため、店舗側に了解を取ったうえで知人にまるっとお譲りしたばかり。
なかなか前もってパーフェクトに都合のいい日って選べないですよね…。
オープンから3年足らずながら早くも予約は2年待ち
先日伺ったのは、神楽坂の「Nose to Tail」。その名前のとおり「鼻から尻尾まで」牛さんを食べ尽くすことをコンセプトにした焼き肉店。
こちらもご多分に漏れず予約困難店なのですが、オープンが2021年11月らしいので、かなり早いペースではないでしょうか。私もその話を直近で8月に聞いたばかりで、「いいなぁ、行ってみたいな」と思っていたら、なんと棚ぼたで貸し切り予約した方の末席を2席いただき、伺えることに。
先にいうと、メニューはコースのみで、ドリンク込みで17600円(税込み)。別途特別なドリンクを注文すると、プラスになります。
お肉はすべて目の前で炭火で焼いてもらうフルアテンド型
座席数は10席。詰めればもう1席ぐらいいけるのでしょうか、最大予約可能人数は不明です。カウンター席で、「コ」の字で調理台を囲む形。
まず1品めは、塩でだけ味付けをした牛テールスープ。
ここからは、牛の「Nose to Tail」を食べ尽くすコースに突入。
1杯目はジンソーダで。ドリンクは基本的に日本国内のもののみ扱っているそうです。ワインはなし。
飲んだのは、主に日本酒。
ノンアルコールでも自家製のクラフトコーラやノンアルコールの割りモノなどありますが、あくまでもお酒が飲めない方向け。
森嶋 美山錦純米酒
写真はいただいたものすべてではないので、あしからず。
今回お誘いした方とも事前に話をしていたのが「お肉をがっつりって年をとって厳しくなったよね」ということ。サシがたっぷり入ったジューシーなお肉よりも、カルビをちょびっとで満足するようになったり。食の好みや1食で食べられる量が減ったり、昔の自分からすると考えられない変化が加齢とともに起きています。
しかし、そういう胃袋にも優しい、ひと手間かけた肉割烹は「ああ、和食のお肉っていいなぁ」としみじみ感じるのです。岡山県の千屋牛や兵庫の三田牛など、日本各地から選び抜いた牛肉をときに薄くスライスし、ときには繊細に包丁を入れ、また別の料理では軽くあぶり、すべて塩や山葵、醤油などシンプルな味付けでいただく。普段から私はおしゃべりですが、お肉を食べるのにこんなに叫んだのは初めてかもしれません。でも、周囲の人も同じ感じだったので、そういうムードを共有できる意味でも貸し切りで訪れたほうが楽しそうです。
たくさんを自分のペースでがつがつ、って方には向いていない店なのは、いうまでもありません。お肉をたくさんいただけなくなった大人こそ訪れてほしいお店でした。
Nose to Tail
東京都新宿区神楽坂3丁目2−6 神楽坂 越後屋ビル 3階