東京に長く住むようになってもなお、1つだけどうも馴染めないままなのが「商売繁盛の神様」とのお付き合い。
東京では11月の酉の市の発祥とされる大鷲神社や浅草の鷲神社、花園神社、目黒の大鳥神社などの露店で縁起熊手を買って祀るものだそうです。
どうもこれが関西人の私からすると不思議なのです。縁起熊手にあたるものは関西でも販売されるのですが、神社ではまた別のものがあります。一度目黒の大鳥神社にいったときには小さな熊手を神社でも販売していましたが、縁起熊手は露天商のもののみでした。
とはいえ、私自身関西の商売の神様の一大イベント「十日戎」に行ったのは小学校の頃。今年は年始最初の取材が東京ではなく京都でお声がかかったので、それに合わて関西滞在を例年より長くし、大阪の今宮戎に参拝してきました。
■今宮戎になんば駅から向かう
今宮戎神社は大阪市の中心部、浪速区恵美須西一丁目に位置しています。関西の戎神社というと、開門神事の「福男選び」で全国的にも知られている西宮神社も有名ですね。
最寄り駅の路線数は多く、一番近いのは南海高野線今宮戎駅。大阪メトロだけでも地下鉄堺筋線恵美須町駅と地下鉄御堂筋線大国町駅、阪堺電車の恵美須町駅、一番遠いのがJR新今宮駅です。
子供の頃は難波の八坂神社の近くに親せき宅があったので、いつもそこから徒歩で行っていました。今回は同行してくれた従姉の希望で、なんばでお昼を食べ、今宮戎神社に行き、帰りはまだなんばでご飯を買うというコース。
なんば駅は御堂筋線の大国町駅の隣ですが、なんばから線路沿いには出店がたくさん並んでいるので飽きずに歩けます。ちなみに、夜になるとある人は「ホームレスが増えるとこですよね」と言い、従姉も「地獄のように人が増えるからやめとこ」「スリがめっちゃ出るからカバンは気ぃつけや」などなど、大阪に帰ってきたことを実感させてくれます。
なんば駅から向かうには、なんばCITYの中を通ってくるのが温かくておすすめ(笑)。
■大音量の音に対抗する声・声あんど、銅鑼!
境内に入るとまず耳に飛び込んでくるのが「商売繁盛笹持ってこい! 年の初めのえべっさん」という歌。大音量で延々と流れていて、耳に残るんですよね。ここがまず関東の商売繁盛のお参りと違う点。
その音に巻き込まれながら、通常の参拝と同じく、本殿にお参りをしたら、その両横で配っている笹をもらいます。この笹をもらうのも大阪人らしいのですが「兄ちゃん、ええのくれやー」と言ってみたり、差し出してくれたものをオークション並みに手をあげてもらうなどなど、順番などございません。なるべく枯れていなくて、葉っぱが多いものが好まれます。
ちなみに、これは無料。そのため、この笹だけもらって帰る人も多いです。
次に、烏帽子姿の福娘が売る「小宝」を笹に着けます。小判や米俵、恵比寿様の人形など1個の価格は1000円から2000円ぐらい。ざっとみただけですが、8~10種類あったかな?
この福娘になるにはオーディションがあり、その発表会見が行われるほどの難関。関西のテレビ局の女性アナウンサーには、赤江珠緒さんなど福娘出身の人も多く、履歴書に書くと面接を通過する確率が高いといわれるほど関西では一つのステイタスになるんです。賞金15万円、晴れ着ももらえるみたい。下手なミスコンよりも人気ですよ。
そんな美女たちを狙って、カメラで全員コンプリートしようとするおじさんも毎年現れる模様(笑)。
最近ではインターナショナルな福娘も採用していて、これは留学生に声がかかるそうで、うちの母校から参加しているとか。今年も3名見かけました。
ちなみに、大阪府警の名前入りの「交通安全」のお札と、今宮戎の名前が入った紙を無料でつけてもらえるのですが、紙はスポンサー付きの応募はがきになっていて、さらなる福が当たる仕組み。この辺がまた大阪っぽいですね。
福笹をもらったら、裏側にまわります。これが意外と忘れられがちなんですが、お参りするだけでは完了ではありません。裏にあるこの大きな銅鑼を鳴らして、恵比寿様を起こさなくてはならないんです。
この銅鑼についての正式な説明は今宮戎神社のホームページにはないのですが、私が知る限りではそういう話になっていて、さらによーく恵比寿様に覚えておいてもらおうと名刺を貼っていく人も多いです。
銅鑼は本殿の裏側に2つあるので、私は両方叩いてよーく覚えてもらってきました。
境内を出ると、関東と同じく縁起物の商品を販売する露店が軒をつらねています。
従姉がお気に入りだという恵比寿様のマークが入った袋入りのカステラを買って終了。
ちなみに、私が訪れたのは3日間開催されるうちの初日の9日でした。
これ以外にも、芸能人や芸者さんたちが乗った宝恵籠行列や福娘による餅まきなど、イベントも行われます。私はどちらも未体験。来年も予定が合えば参拝したいですが、やっぱり夜は怖いですね…。