「運命」という言葉を口にするのは、なかなかないことです。
でも、この瞬間、この人が発する「運命」という言葉は、それ以上の意味を持ってしまっています。

冨田伊織さん。
現在は横浜在住の冨田さんですが、水産大学に通い、その後は漁師として働いていました。
その後、彼が創り出した作品が注目を集め、その地を離れることに。
彼が住んでいたのは、今回被災地となった、岩手県大船渡市、陸前高田市です。
「住んでいたアパートも流されました。
僕もいまもあそこにいたならば、流されていたと思う」
そんなことをつぶやく彼からの「運命」はあまりにも重いものでした。
冨田さんの「運命」となった作品は、『透明標本』という、色鮮やかな標本群です。

このような標本を作ることは研究としては以前からあるそうですが、一般の人には知られていません。
それに、美しい色に作る必要もないわけです。
それを極めることで、作品に昇華した冨田さん。


製作中は、毎日液体(名前失念…)を替えなくてはいけません。
1個作るのに、小さいものでも3ヶ月というから、大変です。作業しているところには、いろんな過程のものが並んでいるそうです。
彼が愛する海の生き物を小さな壜に閉じ込めた作品は、これからどうなっていくのでしょうか。
新世界『透明標本』
http://www.shinsekai-th.com/
本も出ています。