「ユーミンってやっぱり格好いいな」
そう再認識した昨年末のNHK紅白。白いシャツで桑田佳祐さんの肩を組んで歌う姿は、私が子供の頃の見ていたユーミンそのもの。
当時のユーミンといったらアルバムを出したら激売れだわ、ドラマの主題歌も年1ペースでなっていたいわゆるカリスマ。自分で作詞作曲を行い、歌も歌う。
しかしそこからバブルが崩壊し、ユーミンが描いたドライブはデートの基本、夏は海辺でダイビングしてカクテル飲んで、冬はスキーに行くなんて華やかな世界は遠い昔。ユーミンの歌とは違う、遠出をしない・エアメールも出さない半径5m以内行動で紡がれる恋愛が主流に。
5月15日に行われた松任谷由実 タイムマシーン・ツアー Travelling Trough 45 yearsの会場は、いわゆる「バブル世代」の40代後半から60代ぐらいの方で埋め尽くされていました。
ステージのレイアウトは、ユーミンといえば噂に聞いたサーカスのような演出が生きる円形の舞台で、バックのバンドメンバーは舞台の外側に十字にいるという面白いステージ構成。炎があがり、エアリアル・ティシューのパフォーマーが上空を舞い、観客のうでにつけた色が変わるライトも連動させての演出。
ハイヒールに足を通し、時にはセクシーなショートパンツで変わらぬ美脚を見せる、45周年ということでかつてのツアーを引用した演出や衣装について、合間合間にユーミンが解説。ライブのタイトルに「タイムマシーン」と銘打っていますが、歌を知らない私にとってもユーミンの世界は30年ぐらい前の、かつて私も体験はしていないけれど子供でいた時代へ。
「ユーミンの歌う歌詞にある飛行船ももうめったに飛ばないし、車とビールの組み合わせは無理で、エアメールも書かない。待ち合わせですれ違うこともない」
もちろん、それぞれは完全に消えうせたわけではないけれど、多くの人の共感を呼ぶ歌詞の候補からは零れ落ちてしまっている。
ユーミンのタイムマシーンが運んできた言葉の数々。そこに描かれている、かつてあった世界。
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肝心の本人のパフォーマンスですが、本当に私のような素人がおこがましいのですが、やはり高音はあまり出なくなっていると思う。でも声量はあるし、動きもシャープ。45年、むしろよく維持してるんですよね…氷室京介さんや安室奈美恵さんは不調が引退の理由の1つなわけで。
45年経ってもこれだけのホールを埋められるスターでいるって並大抵のことじゃないですよね。全国ツアー40本で、追加公演までできるって日本の女性シンガーでは初だと思う。
再度のアンコールでは、キーボードの武部さんと「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」を披露して終了。いずれもスタジオジブリの映画で使われた名作で、発表当時の世代以外にも広く親しまれているけれど、本当に名曲が多い。これからも作りたい歌もあるし、実現したいライブの演出もある。アルバムも出す。最後のアンコールには涙を浮かべながら観客に応えていた姿に友達と感動しきりでした。
誰かに嫉妬したり、羨んだとしても、その状態に留まることを選ばず、自分を叱咤するエネルギーに変えていかなくては。
ほぼ同世代の友人と二人、
「ユーミンもあんなに頑張っているんだから、私たちももっともっと頑張ろう」
となんか変な気合が入った夜でした。
ある方が仕事で行けなくなったチケットを急遽譲っていただいたのですが、思い切って手を挙げてみてよかった。追加公演だったのでチケットぴあで購入できたそうなので、皆様もぜひライブ参戦を!
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5月15日セットリスト
02.Happy Birthday to You ~ヴィーナスの誕生
03.砂の惑星
04.WANDERERS
05.ダンデライオン ~遅咲きのたんぽぽ
06.守ってあげたい
08.かんらん車
09.輪(ロ)舞曲(ンド)
10.夕涼み
11.春よ、来い
12.Cowgirl Blues
13.もう愛は始まらない
14.Carry on
15.セシルの週末
16.ハートブレイク
17.結婚ルーレット
18.月曜日のロボット
19.ダイアモンドダストが消えぬまに
20.不思議な体験
21.Nobody Else
22.ESPER
23.COBALT HOUR
24.宇宙図書館
25.カンナ8号線
26.DESTINY
27.ひこうき雲