クラブハウスというのは、様々な人が集まってただ話をするだけの場でもあったり、セミナー形式など様々なスタイルのコミュニケーションが音声のみで行われています。
それぞれ素敵な内容だと思うのですが、この「メディア力をあげる」では、毎回メディアに携わる1人をゲストに迎え、私と「まえとあと」を主宰する望月さんがインタビューする形式をとっています。
(といっても、もっぱらおしゃべりな私が聞いている)
「メディア」といってもいわゆるテレビや雑誌などの「マスメディア」もあれば、個人でのブログやSNSもメディア。
そもそも、メディアという言葉は、SDカードなどの「記録媒体」を指す言葉でもあります。そんな「記録」だったり「発信」だったりいろんな意味を持つメディア力をつけていこうじゃないかという1時間となっています。
いまの時代、コロナ禍で同僚や先輩・後輩、友達と「雑談」ができないと、なんとなくの情報アップデートの機会が減っているのではないでしょうか? 私はそういうお話から自分の価値観を更新していくことが大切だと思っています。ほかの人がどうやってその価値観に至ったのか、そしてその先に何を考えているのか、そんな学びをする1時間となっています。
ごはんを食べながら、車や電車で移動しながら、家事をしながら、流し聞きでお楽しみください。
このブログは、そのなかのほんのエッセンスをまとめたものです。#メディア力をあげるでTwitterにつぶやいたものをまとめ、修正を加えています。
2021年5月31日はSUZU PR COMPANYの鈴江恵子さんがゲストでした。
中川政七商店の広報から独立し、高級食パン専門店「考えた人すごいわ」、お好み焼きの「ぼてぢゅう」などのPR業務を担いながら、その手法をリアル店舗で伝えるカフェ「プルミエメ」を奥渋エリアにオープン。新しい販促手法を実践する場としても機能するカフェを作った経緯とその手法を伺いました。
鈴江さん、大学時代のアルバイトの頃から食にハマっていて、ランチが毎日の楽しみだったそうです。当時はフードコーディネーターという仕事が華やかになってきた頃でした。
大学卒業後、意外や社会人1年目の仕事は、セイコーでの時計の営業職でした。そこからご縁があり、あるカフェのオープンに携わるなどを経たのち、フランスに移住。帰国後に中川政七商店に入社し、広報として活動することになるのですが、当時の同社はいまのような店舗を持っている成功企業ではなく、まだ今につながる道へと踏み出したばかり。
いま振り返ってみると、中川政七商店でやった最初の仕事は、「中川政七商店とは?」というアンケートをとったことだったそうです。本当に何もなく、ヴィジョン・コンセプトを作り始めたのが、2009年2010年頃でした。
■カフェオープンにいたったいきさつ
カフェオープンのきっかけは、PRの仕事でインスタグラマーにきてもらうようになり、関わっていくなかで「自分が発信できればいいのではないか?」という発想になり、彼らの投稿へのこだわりやコツを教えてもらいながらインスタを始め、プライベートでますますカフェや食にのめりこみ、仕事のPRをつなげられないかをずっと思っていたといいます。
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中川政七商店を辞めて、独立を考えたときのノートにも「PRと食」というキーワードを書き留めていた。
ただ、当時は自分が飲食をやっても成功できる自信がなかった 自分で店をやるならばこんなのがいいなというのを1年ぐらい前から書き溜めたり、ピンタレストに好きな雰囲気を集めたり。
独立を考えたときのノートにも「PRと食」というキーワードを書き留めていた。ただ、当時は自分が飲食をやっても成功できる自信がなかった
自分で店をやるならばこんなのがいいなというのを1年ぐらい前から書き溜めたり、ピンタレストに好きな雰囲気を集めたり。#メディア力をあげる— きたもとゆうこ Yuko Kitamoto (@KitamotoYuko) May 31, 2021
聴き手のきたもとは鈴江さんのことは中川政七商店の頃から知っているのですが、独立してからカフェのオープンまでは実は結構間が開いています。
それには様々な理由があったのですが、コロナ禍もあり、いろいろと考えるなかで「好きなことをやったほうがいいのではないか」と開業へと踏み切ったそうです。
オープンについてグランドオープン前に1か月間インスタグラムのみの投稿にしたのは、自分の本業の請け負う形のPRではできない「実験」の意味もあり、まずは看板も出さないところでスタート。最初は自分のフォロワーと知り合いしかいなかったのが、1週間ですぐに知らないお客さんが増えてきたといいます。
■あえてタッチングポイントをインスタグラムに限定してのスタート
店名の表記を「プルミエメ」とカタカナにしたのも、インスタグラムを活用するなかでのアイデア。
店名は、自分のなかでインスタをやってきて「カタカナだな」という感覚があった。メニューも蜂蜜をかけさせたり、卵を割らせるなど体験価値があったほうがいいなど。一方で、入り口のマットのデザインなどもさりげない映えポイントとなっています。
店内のデザインとしては、トイレも隠し扉みたいにしていて、あえてわかりにくいように。また、ちょっといいソープを置いたり、経費のかけ方は考えたそうです。
別途Adver Timesにて記事にしていますが、こちらのカフェには鈴江さんの本業のPRと掛け合わせた機能もあるのですが、インスタをやっているようなお客様には特にPRは関係ないし、いうつもりはなくて人がつながればと思っているそうです。一方で面白いのが、オープン1か月ですがすでに農家から売り込みが! 若い農家の方は、積極的に活動されているようです。
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例えばインスタにも書いてある注意事項。
✳︎Wi-Fi、コンセント完備しています。
✳︎メニューはQRコードでご用意しています。
✳︎完全キャッシュレスで現金は扱いません。
✳︎電話はありません。
✳︎2-6名様まで有料個室がございます。¥2,000/時間
✳︎DMは有料個室のご予約のみ受け付けます。
✳︎ワンドリンク制となります。
✳︎混み合った際は90分制とさせていただきます。
✳︎自転車置き場はございません。
✳︎お車3台分の有料駐車場が隣にございます。
✳︎マスク着用でのご来店をお願いいたします。
電話非対応については、区役所に申請の時点で設置はしても、表に出さないようにしてもらえるそうです。音楽も、アーティストに依頼し、音源同士を組み合わせてくれるシステムを使い、商業利用。WiFi、コンセントも設置し、食器も1種類で通している。
様々な手間を減らし、少人数でも動かせるようにする。広くない店内で効率的に動くための工夫を随所におこなったうえでオープンしています。
包丁はタダフサ、マグカップは波佐見焼HASAMIと、中川政七商店時代のお付き合いのものを使っているのは、その魅力をより知っているからこそ。いまもPRしているわけではないけれど、ご縁があり、その良さは伝えられるものを採用することで、自社のPR商品同様にストーリーを自信をもって語れるのですね。
このほかにも、自然光が入る場所であそこがきれいですよ、などの案内はあえてするようにしている。せっかくだったらきれいに撮っていただきたい。それがいまにつながっていると考えているそうです。
■今後の展開について
オープンしてみて当初の仕掛けの一つの場所貸しのニーズはまだないが、予想外にカフェの運営に悩まれている方やカフェのプロデュースの話もきているそう。まだプレオープンも含めても2か月なのに、このスピード感!
今後予定している展開としては、クライアントのチョコレートをメニューを取りこんでいく。それはいまあかせるのは、濃厚なチョコレートプリンとパンを合わせたもの。いまはオールデイブレックファーストのカフェですが、おやつの時間の強化もはかっていく。
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PRのプロがユーザー視点のインスタグラムを徹底的に活用した結果、成功した事例でした。本当はもっともっと1時間で伺っているのですが、なにせモデレーターをして、Tweetしてってわけなのでご了承ください。そして、ぜひ月曜日20時にご参加ください。
次回6月14日20時からは、フォトグラファーの石丸智仁さんをお迎えし、「世界を撮るフォトグラファーが日本縦断旅で見つけた素晴らしき世界」をお届けします。