【Book】ガリレオの苦悩/東野圭吾


ガリレオの苦悩

ドラマ化⇒映画化と近年の原作ありものの成功例といえる「探偵ガリレオ」シリーズの新作「ガリレオの苦悩」をようやく読了。
以前に「聖女の救済」を先に読んで「内海薫の登場分を抜かしてしまった」意のことを書きましたが、順番逆でも問題なかったです。
本の刊行は2冊同時だったようで、両作共に2008年10月25日初版刊行となっています。

今回の短編集は、5作入り。

うち2作は、福山雅治主演ドラマのスピンオフ「ガリレオΦ」の原作として使われた「落下る」と「操縦る」。

タイトルに「苦悩」とありますが、割りとクールなガリレオ先生こと湯川学が悩むのは、自分と個人的な関わりがあった人が犯罪に手を染めているのを暴かなくてはならないシチュエーションのみ。それ以外は淡々と「論理的」に解いていきます。

「この世には、不思議な事など何もないのだよ。」と「京極堂」シリーズの京極堂こと中禅寺秋彦はいいますが、今回の事件のなかにも事件のように「見えてしまった」ものがあったりと、事件⇒犯人がいて⇒逮捕! とならない事例が出てきます。物理学や数学、はたまたガリレオ先生によれば算数レベルの応用で事件解決の糸口をつかんで、実証していくのですが、自分の考えた案を頭のなかだけでなく、自分の目で・耳で・手で確認しようという姿勢が好きですね。この作品を読むまで、どうも物理っていうのは脳内作業が多いと思っていました。

「たしかに理論は大事だが、実践することも必要だ。実践して、失敗して、そこから新たな発見や着想が生まれることもある。」(操縦る P129より)

これは恩師との関係について語る湯川の言葉なのですが、湯川というキャラクターをも表していますね。今回も実験あり、実証ありで、理系オンチの私でもハマれる作品揃いとなっています。

東野圭吾著探偵ガリレオシリーズ公式サイトなるものもできているんですね。
http://www.bunshun.co.jp/galileo/index.html



CULTURE】の最新記事