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【Book】46年目の光―視力を取り戻した男の奇跡の人生/ロバート・カーソン

昨年のアカデミー作品賞に輝いた映画『スラムドッグ$ミリオネア』の冒頭のシーンで、お馴染みのクイズ・ミリオネアの番組の回答形式で4つの選択肢が観客に提示されます。

D:It is written.

それは、運命。
あらかじめ決められていたこと。

では、人はその運命の流れに流されるがままに生きているのでしょうか?
困難という濁流に飲み込まれながらも、立ち向かう努力をすることだけが道ではないはず。
逃避ではないけれども、その困難を受け入れながらも胸を張って生きる人もいます。

たとえそれもまた、運命だったとしても。

46年目の光―視力を取り戻した男の奇跡の人生/ロバート・カーソン

未読の人にぜひ読んでもらいたいのが、この本「46年目の光―視力を取り戻した男の奇跡の人生/ロバート・カーソン」です。
(原題:Crashing Through: The Extraordinary True Story of the Man Who Dared to See
)

この本の主人公、マイク・メイは、幼少時に不慮の事故で視力を失いながらも、伸び伸びと育ち、正常な視力を持つ人でも困難な冒険を繰り広げてきた190cmの大男。

彼は、ある偶然から自分の視力が復活する可能性があることを告げられます。しかし、それには癌の発生率が上がるなどの副作用のリスクもあり、多くの冒険をしてきた彼でさえも躊躇せざるを得ないのです。でも、世界をこの目で見るチャンスがあるならば、そのチャンスに挑戦したい。
彼が視力を取り戻すまでの過程と、その後について、ロバート・カーソンが追ったの実話がつづられています。

タイトルに「光」とあるように、ネタばらしが既にされていますが、マイク・メイは実際に「目が見える」ようになります。
しかし、目の機能として目が見えるようになることが、実際の我々にとっての物を見るという行為にはならないという事実が明らかになります。

私も冗談で「脳細胞が毎日死んでるから、どんどんもの忘れがひどくなっている」ということがありますが、それはある意味真実であるというのです。マイク・メイの場合、「学びなおし」をするだけのニューロンを脳に取り戻すことはできない。つまり、視力を失った子供の頃と同等数のニューロンがなければ、目の機能を使いこなすことができないのです。

この先はぜひ本書を読んで欲しいので、内容の紹介はここまでにとどめておきます。

前半は彼自身の「障害者」という枠に収まりきれないキャラクターに魅せられ、目が見えない人物だということはどこかへ行ってしまうことでしょう。
彼に魅せられ、まるで友人のような気持ちになったところに彼に与えられたチャンスに喜び、その後の困難に戸惑い、あれほどの豪快な彼がどこへ行ってしまったのかとがっかりするかもしれません。
だからこそ、彼が再び手に入れたものを失おうとする瞬間に感じる言葉をぜひ知ってください。

頑張って手に入れたものを、本当に大切にし続けていなかった自分に気づかされます。



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