てすと

いま雑誌が伝えるべきこととは?

通常ならば発売までは中4から5日。
ただし、これは私がやっていた月刊誌での日数のため、週刊誌はもう2日ぐらい短いでしょうか。
その分、カラーページが少なかったりいろいろあるのですが。

テレビやラジオ、新聞やネットメディアなどに比較すると圧倒的に情報発信に時間がかかる雑誌メディア。
それだけに最新情報を流すのではなく、独自の視点で情報を「編集」することで価値を生み出してきました。

時間が経っていまを振り返るとき、「備忘録」として作っているこのブログを読み返せばどんな報道がされたのかを思い出せるようにここに残しておきたいと思います。
雑誌が書店やコンビニの棚から消えても、雑誌公式ページのバックナンバーに載らなくても、ここにたどりついた人がそのときの思いを呼び起こすことができるためにも。

今回一番話題を呼んだのは、間違いなくこれでしょう。

賛否を呼ぶヴィジュアルというのは、国内外問わずこれまでも多く登場しました。
それが時代の流れが変わると、「非難」から一転、「画期的」と評されることもままあったのは事実です。

この表紙は、現時点では圧倒的に非難を呼んでいます。

意見はさまざまあるでしょうが、私が最も憤りを感じたのは、AERA編集部のポリシーです。

AERA編集部は反響を受け、簡易ブログTwitter上の@AERAnetjpでお詫びを配信しました。

「AERA今週号の表紙及び広告などに対して、ご批判、ご意見をいただいています。編集部に恐怖心を煽る意図はなく、福島第一原発の事故の深刻さを伝える意図で写真や見出しを掲載しましたが、ご不快な思いをされた方には心よりお詫び申し上げます。

編集部では今回いただいたご意見を真摯に受け止め、今後とも、様々な角度から全力を挙げて震災報道を続けていく所存です。最後になりましたが、被災者、関係者のみなさまには心よりお見舞い申し上げます。」

報道の自由。

世間の人々の恐怖を助長する迫撃砲になることを承知であえて危機を訴えたいならば、雑誌メディアとしてやりきればいいのです。

世間の批判を受けようが、雑誌のやるべきこととしてやるべきです。

でも、それを表紙と目次が出回っただけで内容も読まれないうちに簡単にお詫びするぐらいなら、やるな。

いまこの表紙を選ぶ感覚に対する不快感に加え、自分たちの意見を通しきることがない表現者が、なぜこんな物議を呼ぶことが目に見える写真と見出しをつけたのか。

一方、週刊ポスト。

中吊りでしか見たことがありませんが、週刊誌らしい衝撃的な見出しを得意とする週刊ポスト。


衝撃は日常だからこそ受け取れて、危機には雑誌だからこそ光明を届けようということでしょうか。

週刊誌って病院や歯医者のロビーで読むぐらいで、たぶん買ったことないけれども、これはじっくり読みたい気分。

そして最後がこの週刊アスキー。

発刊前から被災地に雑誌が届かないことなどを鑑み、PDFでの無料配信を表明。

本日出版された表紙がこちら。

この表紙を選んだことについて、総編集長メッセージがホームページ上にて掲載されています。

週刊アスキー読者の皆様へ
文●福岡俊弘 2011年03月22日 00時00分

この度の大地震に被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、犠牲になられた方々とそのご遺族の皆様に深くお悔やみ申し上げます。

まず、3月22日発売号の週刊アスキーの表紙ですが、いつもの週アスの表紙を心待ちにしていただいていた皆様には本当に申し訳なく思います。震災後に伝えられる映像やネットの情報を見るにつけ、表紙に入れるべき文章もビジュアルも、正直、何も思いつきませんでした。そのため、今回のような表紙になってしまったことをお詫び致します。
でも、これが先週の、週刊アスキー編集部の偽らざる心境でした。

物流システムが回復していないため、週刊アスキーが届いていない地域が多数あるという報告を受けました。そこで今回、前号(3月14日発売の週刊アスキー増刊号)から、東日本の物流システムが十分に回復するまでの間、全記事ページをPDF化し、公式サイト『週アスPLUS』にて無償公開することにしました。ただ、PDF化したデータは大容量になるため、今すぐに公開しますと、被災地域の通信トラフィックの障害となることが懸念されます。そのため、被災地域での通信インフラが十分に回復したと判断できた時点で公開させていただく予定です。具体的には3G回線がほぼ全域で回復する、などといった状況を想定しています。

すでにPDF化の準備は進めております。公開にあたっては、週アスPLUS(http://weekly.ascii.jp/)においてお知らせ致します。

週刊アスキー総編集長 福岡俊弘

どうか、どうか頑張って下さい。」(本文:編集部ホームページより転載)

紙媒体はここ数年、発行部数の減少の一途を辿っています。

誰かの手にとってもらうために、内容のブラッシュアップだけでなく、さまざまな試みを各社が行っています。

今回の震災により、出版に必要なだけの紙が確保できないこと、流通システムがまだ復興していないことなどを理由に、週刊少年ジャンプが1号休刊となったほか、多くの雑誌が遅延、書籍が出版スケジュールの後ろ倒しを決断しました。

いま、雑誌メディアに何ができるのか。

そして、何をやるべきなのか。

今回の件は震災報道を扱う内容というだからではなく、情報誌に携わるものとして自戒したいと思います。



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