「ブックカバーチャレンジ」なるバトンを受け取りました。
ちょうど2人の方から同じタイミングで届いたので、久しぶりにブログでも読んだ本について更新しましょうかね。
しかし、本好きとしては、7冊に絞るのは難しい。さらに、周囲の人の投稿も面白いので、自分もいろいろおすすめしたい本はある。
そんなわけで、マガジンハウスのHanakoママの平塚さんから受け取ったバトンでは、映画にまつわる本を7冊ピックアップしたいと思います。
フードライターとして紹介されたのに、まぁ映画かよって思われるかもしれませんが、フリーになった当初は映画の原稿も書いていたのですよ。最近はご無沙汰しておりますが。
今回1冊目に選んだのはアンヌ・フィリップの「ためいきのとき―若き夫ジェラール・フィリップの死 (ちくま文庫)」です。
■わずか7年の結婚生活 ジェラールとアンヌの深淵な愛の記録
ジェラール・フィリップ、といっても、映画好きでも私の世代では作品を観たことがある人は少ないかもしれません。私のきっかけは、母がまずアラン・ドロンが好きだと教えてくれて、同じように活躍した人ということで名前があがったのがジェラール・フィリップでした。
ヌーヴェル・ヴァーグよりも前の時代に活躍したトップスターでしたが、36歳で夭折。彼の死から3年後に、その妻アンヌが記したのがこの作品です。
肝臓がんの手術をするも、すでに手遅れ。ジェラール自身に人生が終わりがすぐそこにあること知らせぬまま寄り添ったアンヌの心のうちがつづられています。二人がいる世界をアンヌは繭のように閉じ込めようとするも、それが叶わなかった心の叫び。
「死がふたりを分かつまで」という誓いの言葉がありますが、この二人は死をもってしても分かつことができなかった。
正方形に文字が詰まっている組みも好き。
ひらがな多めなのも、アンヌのやわらかな言葉が生きています。
電子書籍でも文字を流し込むものではなく、紙の雰囲気をそのまま伝えるものが増えていますがこういう文庫はどうなっているののでしょうか? この本は電子書籍化されていないので類似例が知りたいところ。
そして、久々に読んで、また泣きました。
新型コロナウイルスへの対処行動についてでも日々思っているのですが、死というものを身近に経験しているかどうかってそれぞれの行動指針を左右します。
自分が自覚していなくても誰かを感染させ、死に至らしめてしまうのか。
自分はかかっても軽症だし、2週間ぐらいで治るんでしょ、なのか。(実際はその2週間も地獄。地方の場合は噂も広まり、その後も地獄みたいです)
誰もがいつかは死んでしまうのだから、いまある生を大切に。
奥付によると、この本は1964年に鹿島研究所出版会より、1983年に平凡社より出版されています。
平凡社版は、Amazonに画像付きで出品されていました。
■ジェラール・フィリップ入門におすすめしたい映画3選
本と一緒に映したDVD『花咲ける騎士道』は、レンタルにもなく、当時はオンライン配信もなかったので購入したものです。原題は「Fanfan La Tulipe」。この作品の後、ジェラール・フィリップの愛称は「ファンファン」になっています。
ジェラール・フィリップ入門編として選ぶならば、『モンパルナスの灯』がおすすめ。
これはジェラール本人同様に若くして亡くなった画家モディリアーニの伝記映画です。妻を演じるのは、『男と女』のアヌーク・エーメ。
モディリアーニの本は、2007年のBunkamura ザ・ミュージアムでの「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」と2008年の国立新美術館での「モディリアーニ展」の図録を持っています。とくに前者がおすすめ。
図録って、マニアックなテーマであればあるほどおすすめです。展示も最近は音声ガイドに著名人を起用して、よりこだわりを伝わりやすくする努力はされていますが、やっぱりもっと伝えたい思いはあるわけです。1冊3500円前後と、一般書店への流通が難しい価格でも売れるうえ、装丁や印刷クオリティを思うとむしろお手頃。
あ、ジェラール・フィリップからも脱線しそうに…。
あと選ぶならば、迷った結果、スタンダールの作を映画化した『赤と黒』でしょうか。もちろん演じているのは、ジュリアン・ソレル役。
時間があるいまこそ、こういう古典を読むいい機会ではないでしょうか。
嗚呼、やっぱり表紙だけでは終われない…。
これを7日間も続けるのか。まぁ、時間はあるのでね。