日蘭修好通商条約締結150周年と本年の日蘭貿易400周年を記念する「日本オランダ年2008-2009」らしいです。
それに関連して、オランダ映画祭がキネマ旬報主催で開催されていたらしく、チケットをいただけたので最終日に駆け込んでみてきました。
オランダ映画、「クリビアにおまかせ!
」ぐらいでしょうか、知っているの。
オランダ人のその友人にパンフレットでお勧めをチェックしてもらったけれども、「あー、これはもう終わってるね・・・。すごいいい映画なのに!」という言葉ばかり出てきたので、いい作品が来ていたのは確かのようです。
「ノートレインズ、ノープレインズ(NO TRAINS NO PLANES)」にしたのですが、彼女のこの作品への評価は不明。
日本でも公開はされたようで、1999年のサンクト・ペテルブルグ映画祭でグランプリに輝いたそうです。
荷物をすべてカバンにつめ、駅前の馴染みの店へ行く男ヘラルド。
彼は、その店に来ていた客や、店主などにそれぞれ「旅に出るから」と言い、餞別としてそれぞれ自分の使っていたものを渡していく。実は彼は旅に出るのではなく、自分の人生にその日終止符を打つつもりだった。自分を金がなどうしようもない男だという皆に、彼は自分の切り札を出す。
「実の兄はマリオ・ロッソという有名な歌手だ」
信じない皆の前で電話をかけるが、長年疎遠で、連絡は金の無心ぐらいしかしてこなかった兄は、もちろん突然の電話にも冷たい。しかし、彼が病気だという嘘を信じ、兄は少しだけ店にやってくるという。
華やかな兄を迎えるために、人々が呼び寄せられ、一気に店は人で埋まる。わずかな花火のような時のなか、ヘラルドは手の中の薬のケースをずっと握りしめていた。
お別れの品を皆に渡すなかで、最後にトランクがからっぽになるんですね。ヘラルドは、見せつけるように、店の内側に向かって、扉の前でトランクを縦にあけ、ふたをしめます。
旅に出るはずなのに、トランクはからっぽ。
ここで「荷物がないのはおかしいな?」という指摘が誰からも出てこないのは、ヘラルドに対してそういう心遣いをする相手がいないからなんだ。そう思ったら、そこからは猛烈に悲しい映画なんだという視点に変わっていくんですよね。
そこから先は笑えるシーンでもヘラルドが気になってずきずき心が痛んでしまう作品でした。
DVDはもちろん、ビデオにもなっていないのですが、チャンスがあればぜひ見てほしいですね。
’99(監)(脚)ヨス・ステリング(原)ジャン=ポール・フランセンス(脚)ハンス・ハッセン(撮)フート・ヒルタイ(美)ヘルト・ブリンカーズ(音)ニコラ・ピオヴァーニ(出)ディルク・ヴァンダイク、エレン・テン・ダメ、アンリ・ギャルサン、ヘーネ・ベルヴッツ、ドミニーク・ホルウィッツ
オランダ映画祭2009特設ページ
http://www.momat.go.jp/FC/NFC_Calendar/2009-2special/index.html
帰りに用事があったので銀座のダンヒルに寄ったのですが、中にラウンジがあるんですね。ホームページによるとそのラウンジ「THE AQUARIUM」は、「暗闇坂 宮下」を手がけた宮下大輔氏によるオリジナルカクテルやメニューが楽しめるそうです。一度行ってみたいなぁ。
http://www.dunhill.com/jp