日本でも数少ない香道研究家で、室町時代の東山文化創立に貢献した能阿弥・芸阿弥・相阿弥の三代より500数十年
日本文化芸術の鑑識、指導に携わった中尾家25代目夫人。国内外で香道普及のため尽力されている方です。
中尾先生によると香道の発祥は古く、7世紀頃。仏教徒ともに宗教儀式として伝わってきたそうです。
今回のテーマは「梅花香」。
証歌(会のテーマソングのようなものだそうです)には、新古今和歌集より藤原家隆が詠んだ
「梅が香に 昔を問えば春の月 こたへぬ影を 袖にうつれる」が選ばれています。
まずは、試香として、「梅が香」と「春の月」という2つの香りを聞き、覚えます。
その後、本香では5回のうち、「梅が香」と「春の月」がそれぞれ2回、それに試香していない「袖」という香りを混ぜた計5炉を聞いていき、どれがどの香りかを当てるのです。
皆、真剣です。
ちなみに、全部当たると「梅花」、はずれが1つでもあると「月影」、一つも当たらない人は「涙」となります。
全員の回答用紙を回収し、アシスタントの方が採点表を作っていきます。
この採点表も、古いものは美術館や博物館に展示してあるそうです。
こちらは、今回使用したものではないのですが、持参してくださったお香の数々。
なんと、香木も!!!
そして、今回参加者全員が感動したのが、後水尾天皇に入内した徳川和子(2代将軍徳川秀忠・お江の娘)が使っていた「緑」(みどり)というお香を聞かせていただけたこと。
香木は1本に名前がつくと、別のものには同じ名前はきません。
今回の香木は、和子が持っていたものから切り取られたうちの一片で、今回330年前の人と同じ香りを感じることができたのです。
そんな貴重な、先生の手元にご縁があってめぐってきたものを、特別に聞かせていただきました。
この香りを道具に焚き染めてお嫁入りしたのでしょうか。
(後編に続く)