動物の楽園の維持と観光の関係性の真実を知る 山田耕熙 個展「Nahar — Ranthambhore」

4月27日(土)は、代官山ヒルサイドフォーラムにて開催中のフォトジャーナリストの山田耕熙さんの個展レセプションへ。

インド・ランタンボール国立公園は、1955年に保護区、1980年に国立公園に指定され、いまは野生を守りながらも観光ツアーを受け入れています。今回の主役となるのが現地の人々が「Nahar(ナハール)」と呼ぶ食物連鎖の頂点に立つベンガルタイガー。保護活動によって虎の個体数は回復しつつあるものの、現代的な生活を営む人間が間近に住むことから双方が与える影響も問題になっています。

本展では山田さんがランタンボールでの虎を取り巻く環境とそこから見える様々な社会問題について写真をベースに、素晴らしい解説付きで展示。

その展示方法もすごく贅沢。まずは真っ暗な通路を歩きながら動物たちの世界に没入。本当に足元が全く見えない真の闇のなかを歩んでいく。そこでぼうっと浮かび上がってくる光景。

続いて、動物だけの世界の昼の時間。そして、実はその楽園がそう遠くない過去に人間を排除した状況で人為的に作られたものだと知ります。とはいえ、そこに住んでいた人間が退去しただけで、動物たちは何世代も命をつないできている。その楽園のなかの世界の美しさと、人間の“欲”がいまだに悪い影響を与え続けている一方で、観光を取り込むことがこの場所の維持には欠かせないという現実…。

写真美術館級のスペースでワンテーマで約130点も並ぶって、それだけのストーリー力もなくっちゃ持たない。でも、まったく飽きないのは、展示にゾーン分けでメリハリがつけられているのもありますが、自然の「まったく同じものはない」姿に吸い込まれていくからではないでしょうか。

屋外にも展示されているのでガラスの外もお見逃しなく。

会場内の一角では、写真と山田さんの語りで構成された映像作品もあり。

30分とちょっと長めだけど、絶対見るべき。

ヘッドホンで聴くスタイルなので、音が没入感あっていいのと、人数がきっちり制限されるので集中できます。

V-2というゾーンでは、虎の母子の物語が写真で紡がれていて、必見。

山田耕熙さんと少しお話させていただいたのですが、写真のすばらしさはもちろんですが、暗闇での展示についてのあれこれについて質問させていただき、とっても勉強になりました。

5月2日にはゲストを招いてのトークイベントも実施されます。こちらは事前予約制なので、気になる方はお早めに。

これが無料で観られるなんて本当に贅沢…。

山田耕熙 個展「Nahar — Ranthambhore」

2025年4月26日(土)-5月17日(土)

10:00‒20:00(最終日は17:00まで)

代官山ヒルサイドフォーラム |Daikanyama Hillside Forum

〒150-0033
東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1F

Website: https://hillsideterrace.com/
E-mail: ​​info@hillsideterrace.com
Tel: 03-5489-3705

写真集出版記念トークイベント

山田耕熙の初となる大型写真集について、制作チームとともに写真集に対する思いや制作秘話を語ります。

日 時:2025年5月2日(金)19:30-20:30
会 場:ヒルサイドカフェ(代官山ヒルサイドフォーラム内)
登壇者:山田耕熙(写真家)、中島雄太(アートディレクター/グラフィックデザイナー|YUTA Design Studio)新庄清二(編集|青幻舎)、築山万里子(Printing Designer|アサヒ精版) 定 員:30名(事前予約優先)
参加費:無料

山田耕熙|Koki Yamada

1979年生まれ。これまでに南極、北極、アラスカ、アフリカ、ガラパゴス諸島などで様々な生き物たちを撮影。「人と野生動物たち、一緒に未来へ」をテーマに、現在はインド・ランタンボール国立公園で野生の虎の姿を追い続けている。
主な展覧会に「The Land of Tigers」富士フイルムフォトサロン東京ミッドタウン・大阪・札幌巡回(2022年)、個展「ロイヤルベンガルタイガー-フラジャイルな存在-」富士フイルムフォトサロン東京ミッドタウン・大阪・名古屋・福岡巡回(2019年)などがある。「第8回 日経ナショナルジオグラフィック写真賞 ネイチャー部門」最優秀賞(2020年)受賞。時計ブランドIWC ウェブメディア「IWC THE JOURNAL」へ「人と野生動物たち、一緒に未来へ」Part 1 & Part 2(2021年)を寄稿。
主な出版物に、Photo Folio『The Land of Tigers』(2022年)、大型写真集『Nahar — Ranthambhore』(2025年)を出版予定。

交通機関:
東急東横線「代官山」駅下車 徒歩3分
東急東横線・地下鉄日比谷線「中目黒」駅下車 徒歩7分
JR山手線・JR埼京線・地下鉄日比谷線「恵比寿」駅下車 徒歩10分



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